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地ラーメンとしての「サンマー麺」と全国区に広がった「家系ラーメン」
サンマー麺とは
サンマーメン、さんまーめん、漢字では「生碼麺」「生馬麺」「三碼麺」と表記される。サンマ(秋刀魚)とは無関係。広東語で「生」(新鮮でシャキシャキした素材)を「馬」(上に乗せた)麺の意味。発祥は戦前の横浜中華街、当時の中華料理店の賄い料理であったとろみの付いた肉そばが原型とされ、戦後にメニューとして成立していった。塩味か醤油味に細麺を使い、もやし、豚肉、キクラゲ、白菜、ニンジン、葉物野菜など、色取り取りの食材を炒めた物に餡をかけるのが基本的なサンマー麺。
⚫︎サンマー麺の主なお店の例
玉泉亭本店(ぎょくせんてい)
清風楼
三幸苑
中華料理 萬福
生香園 本館
一楽
味の古久家 藤沢店
南京亭
龍味(りゅうまい) 横浜トーヨー街店
家系ラーメンとは
神奈川県横浜市「吉村家」発祥(1974年)の、スープが豚骨醤油ベース、麺は太麺のストレートが基本となっているラーメン。その特徴を有するラーメンおよびそのラーメン店群を横浜家系・家系と呼ぶ。味の濃さ、脂の量、麺のゆで加減など、ラーメンを構成する要素をお客が好みの味や食べ方に調整できるようになっている店舗が多い。多数の亜流と企業として多店舗展開するお店(資本系)がある。
⚫︎家系総本山 吉村家(神奈川県横浜市西区)
さっぱり醤油から「家系」へ変貌
横浜は中華料理が最初に到着した街でもある。だから、ラーメンも最初であろうと想像できる。中華料理用の清湯スープにストレート麺。これが元祖横浜ラーメンである。「玉泉亭」は1918年に創業した老舗だが、今でも懐かしい味をだしている。そして、地ラーメンとして、あんかけ野菜(モヤシが中心)が具となった「サンマーメン」がある。
しかし、今、「横浜ラーメン」といえば家系と呼ばれるラーメンのことを指す。新杉田で1974年に吉村実氏が創業した「吉村家」が総本山(現在は横浜駅近くに移転)。吉村実氏は当時長距離トラックの運転手だったが、趣味で密かに研究を重ねていた九州の豚骨ベースと東京の醤油ベースを組み合わせたスープを開発し、ラーメン業界に挑戦した。いわば「脱サララーメン」。
基本形は、ストレート・短めの極太麺。豚骨と鶏ガラを大量に使った旨みの濃い醤油味のスープに大きな海苔の組み合わせである。食べ手の好みで、麺の茹で具合、脂の量、味の濃さが選択できる。歴史は長いがここ数年で増殖し、全国で250軒とも300軒ともいわれており、まだまだ増え続けている(多店舗のチェーン展開FC展開を全部入れたらもっと多い)。
代表的な店は、ほかに「六角家」「本牧家」「近藤家」「寿々喜家」「介一家」など。そのほとんどが店名に「家」が付いていることから家系と呼ばれているわけだが、そうでない家系もある。例えば「しらいし」「大ちゃん」「ONOMICHI」などがそうである。
※家系初期の代表店3店(吉村家・六角屋・本牧屋)を指して「家系御三家」という。六角屋と本牧屋はすでに閉業している。
さらには、見た目がそっくりで、しかも店名に「家」が付いているにもかかわらずその出身が家系ではない、いわゆる便乗商法的な店も少なくない。ある程度までは、系図的な追っかけもできていたが現在ではほとんど摑みきれない状況になってしまった。
いまだに「吉村家」の直系店も増え続けているが、それ以外に増殖中なのが何軒かある。弟子筋で増やしているのが「六角家」と「本牧家」。フランチャイズで増やしているのが「石川家」。ここは、元は「吉村家」直系であるが具やメニューを換え、もはや独自路線といってもいい。「元町家」「栃木家」「相原家」などがそうである。
⚫︎吉村家直系の主な家系ラーメン店
杉田家
はじめ家
上越家
厚木家
高松家
内田家
2023年12月現在
⚫︎他の主な家系ラーメン店
1992年創業の「壱六家」は別系統でそこからも「松壱家」「壱八家」「町田商店」など多数輩出されている。またさらに「たかさご家」からの流れである「武蔵家」の出身者が多数活躍しており、「武道家」「輝道家」「谷瀬家」「麺家黒」などが一例である。
環2家(かんにや)
介一家
近藤家
末廣家
横横家仙台店
藤澤家
壱系
壱六家 磯子本店
壱八家 東戸塚本店
松壱家 藤沢本店
フランチャイズ展開
石川家
栃木家
元町家
あいはらや
たかさご家系
たかさご家 本店
武道家
谷瀬家
渡来武
武蔵家
輝道家
麺家 黒
その他の代表的な家系ラーメン店
寿々㐂家(すずきや/本牧家系)
矢口家 平塚店
八家(はちや/六角家姉妹店)
らーめん飛粋(ひいき)
千家 本店(せんや)
甲子家
金八家
ラーメン ONOMICHI
ラーメン しらいし
家系ブームの流れでこれらの主流店で修業せずに「家系」を名乗る店も増え、家系戦国時代を迎えた。このブームに目を付けた企業が家系の多店舗展開を始めたりした。そんな流れの中、逆に店名に「家」を付けない店や「家系」すら名乗らない店すら出てき始めた。これはある意味、「家系」の定着でもあり、全国的な浸透である。結局、この「豚骨醤油味」というのは多くの人に受け入れられる味で全国に増えつつある。
特徴
「家系ラーメン」の特徴とは?以前は店名に「家」が付くのが一番の特徴だったが最近は付いてない店も増えて来た。スープは豚骨を中心に鶏ガラをガンガン炊きだし、そこに醤油ダレを強めに合わせたタイプのラーメン。営業時間中でもガラの入れ替えや追加を行い、見た目には苦手な人も少なくない。
油は鶏油(チーユ)であることが重要。豚骨ベースのスープ(鶏ガラも使っているが)に鶏油を合わせるという発想がユニーク。中太のストレート麺で一般的なラーメンの麺よりも長さが短めなのが大きな特徴。酒井製麺(製麺所)の麺が多く、ここの麺を使っているかどうかで昔は主流かどうかを判断できた。
具はチャーシューとほうれん草、海苔。メンマがないのも特徴。麺の茹で方(固め・普通・柔らかめ)、味(タレ)の濃さ(濃いめ・普通・薄め)、油の量(多め・普通・少なめ)を選択できることも大きな特徴。また調味料を多数用意してあり、好みのスタイルをカスタマイズできる。
例:おろしニンニク、生姜、豆板醤、酢、胡椒、すり胡麻。
ライスを用意してある店がほとんどで店によっては無料の場合もある。ここにスープに浸った海苔やチャーシューをのせてミニ丼にして食べる人が多い。チャーシューは以前はほとんどが煮豚だったが、最近は焼き豚にする店も少なくない。「壱系」ではうずらの卵があること、塩味があることが大きな特徴であり個性。
⚫︎多店舗展開している家系ラーメン店グループ
地域に根ざし、駅前や国道沿いなどにも多数チェーン展開しているグループがあり、その出店の勢いは「家系」という一つのスタイルの人気をうかがわせる。
横浜家系ラーメン 壱角家西新宿本店
目黒魂心家
究極ラーメン 横濱家平台本店
家系ラーメン 王道家
町田商店 本店
らーめん せい家経堂店
らーめん大桜十日市場本店
2023年12月現在
とにかく人気な家系ラーメン。店舗や系譜に関しては横浜情報媒体「はまれぽ」さんの以下のリンクをご参照ください。
※全てを網羅したものではありませんのであしからず。
https://hamarepo.com/iekei_kakeizu/