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函館 気品のある塩ラーメン
函館はなぜか「塩ラーメン」なのである。「札幌の味噌」「旭川の醤油」に合わせて、マスコミが作ったかのような話であるが、実際に行ってみると紛れもなく「塩ラーメン」なのだ。店に入って「ラーメン」と注文すると確かに塩ラーメンが出てくるのである。
透明感のある優しいスープが主流。旭川や札幌が男を感じさせるのに対して、函館は気品のある女性を感じさせる。
麵はやや加水率が高い麵で、ウエーブ程度の縮れがある。豚骨をベースに、濁らせずに採った透明感のあるスープを活かすために、具もシンプル。
異国文化との交流も活発だったこともあってか、函館のラーメンの始まりは早い。日本で最初かも、というような古い記録も残されている。少なくとも明治10年代には中華料理が誕生しているようなので、早い時期にラーメンが登場しても不思議ではない。昭和初期の記録にはラーメンや支那そばの存在が記されている。
人気どころとしては「鳳来軒」「鳳蘭」「あじさい」「松らく」など。いずれもが透き通ったスープにシンプルな具のラーメンである。「あじさい」は五稜郭前のビルの二階にあり、ラーメン店らしくはない。そもそも函館のラーメン店は専門店が少なく、中華料理店のラーメンが多い。メニューも豊富で実際はラーメンにおいても醤油や味噌もあるケースが少なくない。しかし前述したように、ここでも「ラーメン」と頼むとやはり塩ラーメンが出てくるのである。
新横浜ラーメン博物館に2000年に「復活」した「マメさん」は、2001年、無事に地元に凱旋し、人気となっている。もともと函館にあり、昭和40年代に人気を博した店だったが、諸般事情により閉店していた。この店の味を今風にアレンジして、新横浜ラーメン博物館と地元の製麵所・岡田製麵の社長が協力して、再興したのである。
どんなラーメンでもたいがい存在する東京において、函館ラーメンは歴史があるのにもかかわらず、そんなに多くはない。
函館ラーメンとは
北海道函館市を中心に食べられている「塩ラーメン」で、豚骨や鶏ガラをベースに近海で取れた海産物から取ったスープを使用。麺には中細ストレート麺が用いられており、やわらかめのモチモチした食感が特徴である。トッピングはチャーシュー、メンマ、長ネギ、ほうれん草、鳴門などのオーソドックスな物が多い。